この作品は1930年に始公演されたアガサクリスティの戯曲を1977年にチャールズ.オズボーンが小説化した作品です。場面が食事室、読書室、そして庭で話が進むため、他の話と比べて違和感あります。それと、細かい心理描写がなく、会話と人物の動作で話が進むため、やはり舞台で観てみたいものです。
冒頭のポアロが朝、チョコレートを飲むシーンは小説にのみ描かれているらしいです。甘いチョコレートをおいしそうに飲むポアロと題名にある苦いブラックコーヒーとのギャップが逆に印象深いです。
登場人物もジャップ警部、ジョージとヘイスティングズ大尉と役者が勢ぞろい。
ヘイスティングズは今回ちゃっかりモテ男の役どころを演じていて、これも他の作品には見られないので楽しませてくれました。
サー.クロードが皆を呼んで、苦いコーヒーを飲みながら、「この中には私の手紙を盗んだ人がいる」と宣言するシーン、そしてコーヒーの中にヒオスシンという毒薬を入れるシーン、コーヒーカップを入れ替えするシーンやら、コーヒーが常に舞台の中心にあります。
誰が毒を入れたのか、薬を手のひらに入れたのが誰か、文章から想像するのも読書の楽しみですが、目で見るのも臨場感があるでしょうね、きっと。
女スパイ、セルマ.ゲーツの娘ルシアがどんな顔のどんなイメージの女性なのか、そしてイタリア人医師のドクター.カレリはどんな容貌をしているのかも気になるところです。
私は今まで戯曲の本はなんとなく読みづらいと思えて敬遠してきましたが、この本をきっかけに戯曲集も読んでみようと思いました。
機会があれば舞台も観てみたいものです。
舞台配置図
登場人物
サー.クロード.エイモリー 科学者、アポッツ.クレイヴ
リチャード クロードの息子
ルシア リチャードの妻
キャロライン クロードの妹
バーバラ クロードの姪
エドワード.レイナー クロードの秘書
ドクター.カレリ イタリア人医師
エドナ バーバラの姉
ケネス.グレアム 医師
ジョンソン 警官
ジャップ 警部
セルマ.ゲーツ スパイで美女、娘1人あり
2022.3.21記