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アガサ・クリスティー 読書感想文

メソポタミアの殺人 (ネタバネあり)

この作品は、1936年発表の中近東シリーズ長編第1作で、名探偵エルキュール・ポアロが登場します。

考古学者エリック・ライドナーの妻ルイーズの付き添い役の看護婦エイミー・レザランが事件後に回想して書く形式をとっており、ご存じの方は「アクロイド殺し」を思い出されるかもしれません。

私ももしかして「あら、これは、、、、」と思いました。実際の犯人は違いますが。

遺跡発掘調査の一団である殺人事件がおこりました。それは完全な密室殺人です。そこへたまたまシリアからバグダッドへ旅行中だったポアロが地元警察に要請され事件の謎を解き明かそうとします。

私個人の感想としては、この密室殺人のトリックはかなり無理があると感じました。上から物を投げて、それで人間の頭を致命傷にし、その石を再び上に戻すなんて、よほどの名手でないと無理でしょうし、そもそも前の夫が今の夫と同一人物なんて夫婦してたら絶対わかるやろ!

それと書き手エイミーのポアロに対する評価がボロクソで、何かで読んだのですが、アガサ自身ポアロをあまり好いていなかったが、周りの者がポアロを主人公にした話をと希望するので、これだけの数の作品が生まれたとかで、ポアロファンにとっては複雑な気分です。

いろいろ難点はありますが、1930年にマックス・マローワンと再婚したアガサ・クリスティーがメソポタミアを背景にした作品ということで考古学、古代文化へのロマンを味わいたい人にはその背景でのミステリーとして楽しめる作品です。私も好きです。出た地名を地図で探して、ちょっとした机上の旅行をしている気分でいられました。

あと、ルイーズの妖婦を思わせる美しさ、それに惚れてしまう男たち、嫉妬心に燃える女性たちの心情がよく描かれていて最後まで誰が犯人かわからない、また誰もが犯人になり得るストーリーが楽しめたミステリーです。

登場人物

ライリー医師  -シーラ・ライリー(娘)

エイミー・レザラン(看護婦)この作品の書き手

エリック・ライドナー  ルイーズ・ライドナー  夫婦

ヤリミア遺跡調査員

リチャード・ケアリー (外国人建築家、美男、ルイーズと恋仲)

ラヴィニ神父 (フランス人神父)

ミス・ジョンソン (イギリス人、ライドナー博士を慕う)

マリー・マーカド ジョゼフ・マーカド (夫婦)

カール・ライター

デビッド・エモット

ウイリアム・コールマン

2021年10.15記

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