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アガサ・クリスティー 読書感想文

黄色いアイリス

収録作品9(短編集初版1939年)

  1. レガッタ.デーの事件 P.パイン
  2. バグダッドの大櫃の謎 ポアロ
  3. あなたの庭はどんな庭ポアロ
  4. ポリエンサ海岸の事 P.パイン
  5. 黄色いアイリス
  6. ミス.マープルの思い出話
  7. 仄暗い鐘の中に ノンシリーズ
  8. 船上の怪事件   ポアロ
  9. 二度目のゴング  ポアロ

この短編集を読んだきっかけは、先に「パーカーパイン」を読んでとても面白く、他にパインの登場する話が他に2話だけで、その二話がこれに収録されていることを知ったからです。

短編にはのちに長編作品の原型となるものもあり、逆に長編を読んでて、「あれ、この話何か読んだことあるわ」と思うこととかあって、この中の収録作品にもそういうのがいくつかあります。

私が今まで読んだ中では「バグダッドの大櫃の謎」

これは中編「スペイン櫃の秘密」のほぼ原型ですし、「船上の怪事件」は長編の名作「ナイルに死す」を思い出されます。

それ以外にも(私は未読ですが)「二度目のゴング」は「死人の鏡」と似ているらしいし、題名の「黄色いアイリス」は「忘られぬ死」としてのちに長編化されています。

短編を短い時間で読めるから読むだけでなく、クリスティファンとしてはその筋書きをたどりながら読むと、他の作品を読んだときに新たな気付きがあるかもしれませんね。

この短編集はポアロもの5作、マープルもの1作、パインもの2作、他1作の計9作が収められていて、各名探偵たちのキャラクターを味わえる、とても豪華な短編集だと思います。

私のイチオシとしては「ポリエンサ海岸の事件」。女心を見事に

つかんだ名作です。

そして脇役マドリーン.ド.サラの名演技が光ります。これを読まれると、女性はなるほどと納得され、男性は女心を認識するかも。

あと短い話ですが「ミス.マープルの思い出話」マープルの人情味ある人柄を味わえる珠玉の作品、なんともいえぬ昔への懐かしさが読後ただよってきます。

「バグダッドの大櫃の謎」「黄色いアイリス」「二度目のゴング」については別の作品で又違った味わいを楽しみに待っていたい、そう思います。

2021.11.8記

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