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アガサ・クリスティー 読書感想文

鏡は横にひび割れて

この作品は、1962年マープルシリーズ8作目で、マープルの住むセント.メアリ.ミード村が舞台です。

1980年にエリザベス.テーラー主役の「クリスタル殺人事件」として映画化されたこの作品は、彼女の稀代の美貌、個性ある周囲のキャラクター、マープルのホームグラウンドが舞台とあって、華やかさと同時にほのぼのとした魅力にあふれています。

セント.メアリ.ミード村も時代の変化を受けて新興住宅地がたくさんでき、新しい住民も増えてきました。

マープルの友人、バントリー夫人のかつての住居であったゴシントンホールに有名女優が引っ越してきて、開かれたパーティーで一人の女性客が毒の入ったカクテルを飲み、死んでしまいます。

誰が毒を入れたのか、そして何の為に殺したのか?

ホワィダニットのこの事件、最初しばらくは新しい住人たちも交えて、ホームドラマのようなやりとりがしばらく続きます。

マープルは付き添い婦のミス.ナイト

からすっかり体の弱ったおばあちゃん扱い。うまくナイトの目を逃れて散歩に出かけたら、今度は転んでヘザー.バドコックに助け出される始末。

マープルも今回は犯人の目星がなかなかつかず、適当な病名を言ってのけるバントリー夫人にブチ切れてたりします(笑)

犯人とその殺しの手段は意外とあっさりとしたものでしたが、その動機は心の凍りつくような冷たい、寂しいものでした。

ヘザー.バドコックは人のいい、自ら野戦に奉公するような正義感にあふれた真っ直ぐな人だったのですが、悪くいうと相手の事を考えない、今で言うところの空気の読めない人だったんですね。バドコックはそのせいで自ら墓穴を掘って殺害されるはめになったのですが、瞬時に殺意を覚え、そして殺してしまったマリーナも憐れでなりません。

この作品からは主役女優の美しさ、そして母性の悲しみがひしひしと伝わります。

そして登場人物たちのやりとりが丁寧にゆっくり描かれていて、とても読みやすかったです。

登場人物は多いですが意外にも混乱せずサクサク読めました。

あとシャーロット姫のオペラ「ああ、呪いは我が身に、シャーロット姫は叫べり」なんていうセリフがすらすらと言えるバントリー夫人に

イギリス上流階級の女性の教養の高さにもほれぼれしました。女性の方に愛される作品です。

登場人物

ドリー.バントリー マープルの友人

   ゴシントンホールの元持ち主

ミス.ナイト  マープルの付き添い

チェリー.ベイカー  メイド

ジム   チェリーの夫

グラディス.ディクスン  チェリーの友人

マリーナ.グレッグ 女優

ジェースン.ラッド マリーナの夫

       映画監督

エラ.ジーリンスキー ジェースンの秘書

ヘイリー.プレストン ジェースンの助手

ヘザー.バドコック  野戦病院協会幹事

アーサー  ヘザーの夫

マリーナの友人たち

 アードウィック.フェン

 ローラ.ブルースター

 マーゴット.ベンス

マリーナの主治医

モーリス.ギルクリスト

ゴシントンホール召使い頭

 ジュゼッペ

警部

フランク.コーニッシュ

主任警部(スコットランドヤード)

ダーモット.クラドック

小さい頃からのマープルの知り合い

部長刑事

ウィリアム.ティドラー

風疹

妊娠初期にかかると胎児の耳、目、心臓、知能等に障害が起きやすい

2021.10.24記

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