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アガサ・クリスティー 読書感想文

リスタデール卿の謎

  1. リスタデール卿の謎
  2. ナイチンゲール荘
  3. 車中の女
  4. 六ペンスのうた
  5. エドワード.ロビンソンは男なのだ
  6. 事故
  7. ジェインの求職
  8. 日曜日にはくだものを
  9. イーストウッド君の冒険
  10. 黄金の玉
  11. ラジャのエメラルド
  12. 白鳥の歌

この短編集は、1934年刊行のアガサクリスティの初期の頃の短編12作品が収められています。

そしてこれにはポアロ、マープル、タペンスとトミー、P.パイン氏といったクリスティおなじみの名探偵は登場しません。

その為、こういった名探偵小説ファンの人には物足りないかもしれません。

主人公役には

未亡人、若者、退役刑事、幼妻と、探偵物には脇役で登場するような市井の人物です。

ただ、それだけに多様な話に富み、何も殺人が起こらない話もあって、気軽に楽しく(あと味が悪い話もあったりします)犯人探しに疲れたらこういう短編集もいいなと思います。

全12作品を分類すると

主人公が事件に巻き込まれる話

1 3 5 7 8 9 10 11

主人公がある疑惑を抱き、それに内面で葛藤する話(そしてこれらはハッピーエンドばかりではない)

そして結構毒を含んでいる

に分かれます。

4 六ペンスのうた

これはのちの作品によく出てくる、マザーグースの童謡を素材に取り入れた話で、クリスティの小説を読み進めているうちに、どこかで「あー、これ」と思うこと必須です。

そして12のお話は短編集の最後を締めくくるのにふさわしい演劇を題材に取り入れたお話です。

内容紹介

1.上流階級の婦人のみに屋敷を貸すという不思議な話

2.ひょんな事から夫の秘密を知った妻が夫に殺されるんじゃないかと怯え、ついに夫を殺してしまう

3.伯父に仕送りを止められた青年が乗り込んだ列車で女性と出会い、陰謀に巻き込まれる

4.元敏腕弁護士が依頼された事件を解決するのに六ペンスの唄がヒントとなる

5.恋人に頭の上がらない男が懸賞で当たったお金で買った車で郊外を走っている時に偶然巻き込まれた事件で男らしく生まれかわるハッピーエンドの話

6.人のよい教授の後妻が昔夫を殺して無罪となった女だと知った元刑事が、水晶占い師の予言のとおり事件を防ごうとするが、、、

7.求人広告で皇女の身代わりとなった若い女性のシンデレラストーリー

8.ドライブの途中で買ったくだもののかごに入っていたルビーが、強盗に盗まれた貴重なものと信じこんだ若いカップルのドタバタ劇

9.ネタにつまった作家のもとにかかってきた一本の電話から事件に巻き込まれる

10.伯父からクヒにされたジョージ。道を歩いていた時に車から声をかけられ、そこから事件に巻き込まれるが、、

11.海水浴場で間違って入った更衣室で有名なエメラルドを手に入れた主人公が右往左往して最後は、、

12.オペラ歌手が「トスカ」を歌うことを条件に公演に出ることを許可する。それには彼女の思い出があった

私的には6がクリスティらしいスリルに満ちた展開にハラハラして好きです。やっぱりエヴァンズは毒を飲んだのかしら、それとも心臓発作かも。

9の「合言葉はキュウリ」これには爆笑しました。て言うか何でキュウリなん?てツッコミどころもあってバカバカしいやらで、でも3とか7とか10とかは後の冒険物や、タペンス&トミー作を予感させる、思いがけないことから話が展開し、ロマンスが芽生えるほんわか感が味わえる、さしずめ大人の童謡といえる一冊です。

2021.11.22記

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