- クリスマスプディングの冒険
- スペイン櫃の秘密
- 負け犬
- 二十四羽の黒つぐみ
- 夢
- グリーンショウ氏の阿房宮
ポアロ物5作、マープル物1作の計6作からなる短編集で、クリスマスを意識した作品集かと思いましたが、クリスマス物は最初の一作のみです。
全体的に食べ物の話が多く、昔のイギリスの食事や風俗が感じられる、読んでほのぼのとした温もりのある短編集です。
1.ポアロのちょっとしたロマンスのあるクリスマス物語。ヨーロッパのクリスマスは本当に大人も子供も楽しみで、わくわくする一大行事だということがひしひしと伝わります。
イギリスのプディングってどんな料理菜のか食べたことないけど、さぞ美味しそう、、、
殺人事件もおきるけど殺伐としてなくて、夢物語のような味わいのある作品です。
2.女性の性(サガ)を残酷に描いた作品で、「黄色いアイリス」に収録されている「バグダッドの大櫃の謎」をより詳しく、登場人物の心理描写を描いているので、この作品の方が味わい深い作品になっています。
冒頭のポアロとミス.レモンのやりとりが絶妙で笑ってしまいます。
男たちを手管にかけるクレイトン夫人の天然ぶり、それに深い嫉妬を燃やすスペンス夫人、それにミス.レモンの別の意味での天然さ?もあり、「殺人のかげに女あり」が見事に描かれています。ポアロのセリフ、「女性が真実を語らねばならない相手、それは聴聞僧、美容師、そして私立探偵です」名言です。
4.アガサクリスティの小説にはよく黒つぐみが登場します。
が、このお話に出る黒つぐみは黒イチゴです。
この作品にも食事のシーンが多く登場します。
食事の好みから犯人を割り出すポアロの鋭い頭脳が光ります。
行きつけのレストランでもっと長く食事したかったでしょうと思うと、亡くなったガスコイン氏が憐れに思えてなりません。
アガサクリスティの小説を読むと、自分の知らないイギリスの州名や風俗、そして遺産をめぐる争いのはての殺人事件が多い事から、上流階級の生活について勉強しないといけないとつくづく思います。あと、マザーグースの童話をベースとした話も
多い。
「そして誰もいなくなった」や「ポケットにライ麦を」この黒つぐみの話もそうなのでマザーグースも読んでみたい。
感想文を書きながら新たな知識欲がわいてくるこの頃です。
スペイン櫃の秘密(相関図)
チャールズ.リッチ少佐
48才、独身 パーティー主宰者
マルガリータ.クレイトン
チャールズと恋仲
アーノルド.クレイトン
55才 チャールズの友人
ジェレミー.スペンス
37才 下級役人
その妻リンダ
マクラレン中佐
46才 パーティーに出席
アビィ.チャタートン夫人
マーガリータの友人
ウィリアム.バージェス
チャールズの召使い
ミラー警部
2021.11.12記