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アガサ・クリスティー 読書感想文

ポケットにライ麦を

この作品は、1953年作のマープルシリーズ第6作目でマザーグースの童謡の歌詞をヒントに行われた殺人がおきます。

ですが実際には歌詞どおりの順序の殺人ではないところに謎が隠されているのですが、、、

この作品、ズバリ言ってしまうと「ジェーン.マープル、復讐の女神誕生」

のお話です。

「復讐の女神」は後のマープルシリーズにありますが、この作品にはマープルの激しい気性が実にあらわれているのです。

前作「魔術の殺人」の後にこの作品を読むとそれは納得できます。

前作では幼なじみの友人に頼まれて、彼女の妹の家に食べる物にも困って転がり込む貧乏な昔の友人として乗り込んでいたのです。

だが今回は昔自分が仕込んだあわれな娘を残忍な形で殺害した犯人に自ら立ち向かうハンターとして乗り込むのです。

前作までの暖炉の前に座って編み物をしながら世間話でもしてるようなおだやかなおばあちゃんではないのです、今回のマープルは。

かといってマープルは第一線に自分が立つわけではなく、あくまでもニール警部を立ててその参謀役という立ち位置で決してでしゃばるわけではありません。そこは奥ゆかしいところです。

そしてこの作品は話のテンポがスピーディーで、イチイの木や風景が映像にするとさぞかしあでやかな映画になったんじゃないかと思います。

冒頭の秘書がお茶を運ぶシーンなどは美女の社長秘書がはくヒールの音や女子社員たちのけたたましい会話が本を通して目に浮かびます。

あと、この作品は登場人物が皆、ひと癖、ふた癖あり、名前もフォーテスキュー家の長男パーシヴァル、次男ランスロット(この名はアーサー王伝説に登場する円卓の騎士の名でランスロットはアーサー王の王妃との不義の恋と、それにより円卓の騎士の分裂の一因となった人物)だそうで、話の結末を知るとなるほど!と思えたりして、ラストのグラディスの手紙は泣かせます。この手紙がもっと早くマープルに届いていたら、この子は死なずに済んだのかもと思うと悲しくてなりません。

手紙を読んだマープルの泣いた後の不気味な笑みが余韻を残して、今後のマープルの活躍がどんな風に変わっていくのかとても楽しみです。

6ペンスのうた

6ペンスの唄を歌おう

ポケットにはライ麦がいっぱい

24羽の黒ツグミ

パイの中で焼き込められた

パイを開けたらそのときに

歌い始めた小鳥たち

なんて見事なこの料理

王様いかがなものでしょう

王様お倉で金勘定

女王は広間でパンにはちみつ

メイドは庭で洗濯もの干し

黒ツグミが飛んできて

メイドの鼻をついばんだ

登場人物

レックス.フォーテスキュー

前妻との長男

パーシヴァル

その妻

ジェニファー 元看護婦

 マッケンジー家の娘

次男 ランスロット

その妻 パトリシア

元夫戦死 

前夫フレデリック・アンスティス 馬

前妻との娘 エレイン

その恋人 ジェラルド.ライト

前妻の姉

ラムズボトル

女子社員 ミス.サマーズ

主任社員 グリフィス

社長秘書 グローブナー

レックスの後妻

 アデル(30才年下)

アデルの恋人 ヴィヴィアン.デュボワ

家政婦 ミスダブ

執事 クランプ

その妻 料理人

グラディス.マーティン 小間使

元マープルに仕えた

グラディスの恋人 アルバート

メイド エレン.カーティス

ニール警部

ヘイ部長刑事

ウェイト巡査

タキシン イチイの実に入っている毒

2021.11.18記

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