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アガサ・クリスティー 読書感想文

秘密機関

1922年に発表されたこの手紙は、アガサクリスティの長編第2作目でトミーとタペンスが「青年冒険家商会」たるものを作って、沈没寸前のルシタリア号に乗っていた、政府の極秘文書を持っていたと思われる「ジェーン.フィン」という女性とその文書を探す冒険サスペンス。

とにかくタペンスのエネルギー全開感がすごいです。

戦後の仕事がない、お金がない、希望がないのないないづくしの時代だからでしょうが「私はお金が欲しいのよ!」と言いきるタペンス。真っ正直で、ためらいも全くない、ぶっちゃけな欲望が嫌みなしにすがすがしいです。

そんなタペンスに戸惑いながらも卑屈にならず、状況をクールに分析するトミー。物語のラストで実は彼にスパイの地が流れていることがわかります。

謎の男「ブラウン氏」の正体、途中でもしやジュリアスでは、と思いましたが、これは見事にはずれましたね。

逆にジェーン.フィンの正体はわかりやすかったです。

このジュリアスの常識はずれの金持ちぶりも豪快で、急にロールスロイス買ってきてるし、あまりに性格があけっぴろげだし。

そもそもツッコミどころ満載です、このお話。

素人の20才そこそこの子供たちに政府の機密文書を探させるなんてあり得ないし、急に車買って乗れるわけないやん!!

敵のアジトにトミー一人でそうやすやすと入りこめるのもあり得んやろ(もっとも中で捕まってえらい目にあったけど)

若い頃のアガサクリスティだからこそ書けたであろう波乱万丈の

このお話は、世間の常識とかを忘れてひたすら物語を楽しむのが一番です。

私は先に「NかMか」を読んだので、若かりし頃の2人の姿を知りたく、興味津々でこの作品を読んだのですが、想像どおり、いやそれ以上にお転婆で頭の回転の早いタペンスと、冷静沈着なトミーを知ることができました。

あと、残るは「運命の裏木戸」でふたりがどんなおじいさん、おばあさんになってるのかがとても楽しみです。

登場人物

トミー(トマス.ベレズフォード)

タペンス(プルーデンス.カウリー)

エドワード.ウィッテントン

 エストニア.グラスウェア社長

ボリス.ステファノス ロシア人

ジェーン.フィン

 行方不明の女

ジュリアス.P.ハーシャイマー

 ジェーンのいとこ

リタ.ヴァンデマイヤー夫人

ジェームズ.ビール.エジャートン

 弁護士

A.カーター 情報局員

ソーホーの召使い

アネット、コンラッド、アルバート

2022.1.21記

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