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アガサ・クリスティー 読書感想文

復讐の女神

この作品は1971年に発表された、前作「カリブ海の秘密」の続編でアガサクリスティが書いた最後のミス.マープル物です。

年老いたマープルが前作で協力して事件を解決した盟友ともいうべきラフィール氏の死後に彼の弁護士を通じて依頼された任務を果たすべく大活躍します。

マープルの鋭い勘と人物の本質を見極める深い観察力が発揮される集大成というべき作品に仕上がっていると思います。

今回はマープルは冒頭から最後までずっと出ずっぱり。

人の話を揺り椅子に座って編み物をしながら、ふんふんと世間話でもするように犯人を言い当てる、なんてお気楽なおばあさんではありません。

バスツアーに元気に参加して歩きまわり、後半には「私の名はネメシス(復讐の女神)よ!」なんてたんかをきるシーンもあってマープルがかっこよすぎてマープルファンにはたまりません(笑)

ただ、今回の任務はマープルは最初から全くの白紙の状態で、一体何をラフィールがマープルに解決してほしいのか、誰が犯人かわからない状態で、乗客の一人一人、招待してくれた三姉妹他(それもツアー客の名前覚えるのも大変)から糸口を見いだす過程が長いため、話が進むのが冗長に感じられます。

ツアーの途中、三姉妹の家に招待され、屋敷を案内される場面でマープルはえたいのしれない恐怖を感じとります。

その時のえたいのしれなさが本題解決の糸口になる訳ですが、後から思うとこのシーンはとても恐ろしい場面なわけで。何と言っても死体のすぐそばにいるわけですから。

本来この作品は三部作となる予定で、この次の作品はクリスティが死去した為描かれることがなくなったらしいです。

更なるマープルの活躍を見ることがかなわなかったのは残念です。

事件を見事解決し、大金を手にしたマープルは何をしようとしていたかは想像するしかないですが、私は不幸な人たち、老齢の人たちが安心して暮らせるような施設みたいなのを作りたかったんじゃないかと思います。

登場人物

ジェースン.ラフィール 故人

 その息子 マイクル

 息子のフィアンセ ヴェリティ.ハント

ノラ.ブロード 行方不明の娘

エスター.ウォルターズ ラフィールの秘書

旧領主邸の三姉妹

クロチルド.ブラッドベリースコット

ラヴィニア.グリン

アンシア.ブラッドベリースコット

ジャネット お手伝い

バスの乗客

サンボーン夫人 付き添い役

ミス.ラムリー 二人連れ老婦人

ミス,ベンサム

(ボス役)

ライズリー.ポーター夫人

その姪 ジョアナ.クロフォード

ワニステッド教授

キャスパー氏 外国人

ウォーカー大佐夫妻

エムリン.プライス 青年

ミス.クック(金髪) 中年婦人二人連れ

ミス,バロー(黒髪)

ミス.エリザベス.テンプル 元女学校長

リチャード.ジエームスン 建築家

バトラー夫妻(アメリカ人)

ブラバゾン副司教

ラフィールの顧問弁護士

 Jr.ブロードリブ

 シュスター

2021.12.18記

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