①クイン氏登場
②窓ガラスに映る影
③〈鈴と道化服〉亭奇聞
④空のしるし
⑤クルピエの真情
⑥海から来た男
⑦闇の声
⑧ヘレンの顔
⑨死んだ道化役者
⑩翼の折れた鳥
⑪世界の果て
⑫道化師の小路
あらすじ
①大みそか、招待された家に嵐と共に黒髪の男性が訪問する
(元旦に黒髪の男が最初に訪れると幸運が舞い込むといういい伝えがあるらしい)
彼の名はハーレ.クイン氏。
その家の元の持ち主の自殺した謎をとくヒントをサタースウェィト氏に能える。
この時からサタースウェィト氏は道化師役をクインから進められる。
同時代の歴史家より後世の歴史家の方がかえって正しい物の見方、釣り合いのとれた物の見方ができる為、真実の歴史が見えるという。
②幼妻の情事に嫉妬した夫が女性の帽子をかぶり窓ガラスからのぞき見しているのを幽霊が映っていると思わせ、二人を殺害する。
③車が故障して入った料理屋でクイン氏と再会。街で失踪した大尉とその新妻の秘密を探る。
④裁判に出席していたサタースウェィト氏がひいきにしている店アルレッキーノ(美食の店)でクインと再会、彼は言う「普段は傍観者の自分が、クイン氏と一緒にいる時だけは主役になった幻想を抱くことができる」
元メイドを探しにカナダまで行くサタースウェィト。彼女は空に巨大な白い手を見たときに事件が起こったと証言する。
⑤カジノで落ち目になった伯爵夫人が全財産かけて勝負する。勝ったのはサタースウェィト氏だがクルピエは伯爵夫人にかけ金を回す。そのクルピエは昔、伯爵夫人に振られた恋人だった。
(その一方)若いカップルが誕生
⑥冒頭の犬のシーンが印象的
ひなびた海沿いの一本道、ゴミの山を喜び転げ回った犬が車にひかれて即死。死にぎわの犬の目にあった人生の悲哀、残酷さ。
ああ、私が信じていた素晴らしい世界よ、どうして私にこんな仕打ちをするのか
崖のてっぺんの家で昔のなじみの男女が再会する。そこに女の元夫(死者)の代弁者としてクインが現れる。
⑦メイドと入れ替わった姉ビアトリスの霊が交霊で出現、鈴と道化服亭でクインと会う。
⑧オペラハウスで出会った男女3人の三角関係の物語〈アルレッキーノ〉の店でもう一人の男と会い、彼の犯罪を未然に防ぐ。美しすぎる顔を持つ女の悲劇
⑨死んだ道化役者という名の1枚の絵が暗示する事件を解決する、銀の水差しを持った泣き女の名演技が光る。
⑩降霊術でクインから暗示を受けたサタースウェィトはライデル荘に向かう。そこにはこの世の者とは思えないニンフのような女性がいた。
⑪公爵夫人とコルシカの世界の果てと呼ばれる地に向かう。恋人の無実を知った女性が深い絶望から立ち上がる。
⑫みんなで踊るショータイムの後にサタースウェィトがクインと別れる。それと共に彼の道化師の役も終わりを告げ、現実世界に戻ってしまう。
感想
1930年に刊行されたアガサクリスティ3作目の短編集です。
1度読んだものの、それからしばらく空いてしまい、細かい内容を忘れたのでざっと読み直し、各編の
要点をまとめました。
どの話も幻想的で神秘に満ちあふれています。
夜寝る前に一杯のお酒を飲みつつじっくり味わってほしい、そんな一冊です。
大みそかの日には是非①を、嵐の日は③、ひとりでいたい時には③、④、⑤、⑦を鈴と道化服亭でステーキを味わいたいです。
⑥これは夜よりも明るい日ざしが似合う希望に満ちた作品
⑫悲しい別れが切ない。この後時を経てふたりは再会します。その話は「マン島の黄金」に掲載されてます、。その作品も是非どうぞ❗
2021.12.24記