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アガサ・クリスティー 読書感想文

蒼ざめた馬

この作品は1961年発表のノンシリーズもので、アリアドニ.オリヴァ夫人が主人公の友人役で登場します。降霊会の細部にわたる詳しい描写や、呪いで人が死ぬ言い伝えの話等オカルト色の濃い作品となっていて、おどろおぞましいイメージがありますが、意外と軽妙なタッチで主人公の男性の一人称で淡々と述べられるアットホームな内容となっています。

これは多分主人公の性格によるものでしょう。

彼は友人が多く社交的で学者さんながら優雅というか暇というか独身生活を満喫している男性です。

ある殺人事件にひょんなことで関わるはめになって、事件を解明しようと(部外者なのに)乗り出します(おいおい仕事しろよ!)

その他の登場人物たちも個性的で楽しい人たちなので余計に話に彩りを与えています。

オリヴァ夫人はその場その場でいい塩加減を与えてくれるスパイス役。

パピーは一見お馬鹿キャラながらピンポイントで重要な意見を出していて、イケメン(きっと)ルジューン警部はさすがに鋭く、早い段階で犯人の目星をつけていましたね。

マークと一緒に行動するジンジャーは頭の回転が早く、おしどり探偵のタペンスを思い出させる行動派。病気にかかったときは姓名もコリガンなので死ぬんじゃないかと心配しました。

話がどんどんふくれ上がったわりに結末があっけなかったような気がするのが残念です。あの3人の魔女たちは最後どうなったのか、ヴェナブルズは本当にシロだったのか、国税局がマークする位だから何か悪いこと1つぐらいはあるんじゃないかとか思うところはありますが、まあ最後はハッピーエンドだったのでよしとしましょう。

蒼ざめた馬(Pale Horse)とは、死神がやっている時に乗っている馬の事で、マークのいとこローダの夫デスパード大佐は「ひらいたトランプ」に登場されるそうで後日再会できるのを楽しみにしています。「親指のうずき」の話をうわさ話で話す人が出てたり、「死者のあやまち」の話をオリヴァ夫人が語っているらしく、こういった話が随所に出てくるのは、ファンにとって嬉しいですね。

登場人物

マーク.イースターブルック 学者

アリアドニ.オリヴァ 推理作家

ゴーマン神父 司祭

ディヴィス夫人 ゴーマン神父が看取った女

ローダ.デスパード マークのいとこ

ヒュー.デスパード大佐 ローダのいとこ

ジム.コリガン 警察医

ルジューン 警部

ハーシャ.レッドクリフ マークの女友達

ディヴィッド.アーディングリー

 マークの友人

ポピー(パメラ.スターリング)

 ディヴィッドの女友達

ザカライア.オズボーン氏

 薬局の主人

ジンジャー(キャサリン.コリガン)

 マークの女友達

ケイレブ.デイン.キャルスロップ

 マッチ.ディーピング村の牧師

サーザ.グレイ 蒼ざめた村住人

シビル.スタンフォーディス 霊媒

ベラ.ウェップ 料理人

ヴェナブルズ プライアーズ.コートの持ち主

ブラッドリー 元弁護士

司祭と牧師の違い

牧師 プロテスタント、職名、教職者

神父 カトリック、正教会、呼び名、聖職者

子供からみると神父は学校の先生、牧師は塾の先生かな?

タリウム中毒

殺鼠剤として使われる 無味無臭の為殺人薬として使われる

淋病、梅毒、結核の治療薬

毛髪のケラチン生成が阻害され脱毛を起こす 白癬の治療薬

2022.1.6記

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