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アガサ・クリスティー 読書感想文

チムニーズ館の秘密

登場人物も次のとおりびっしりで、アンソニーの冒険物語、バトル警視の殺人捜査、宝石泥棒を探せ、ヘルツォスロヴァキアの王政復古、革命の歴史、等をごっちゃにまぜたようなこの作品は1925年発表のバトル警視が初登場する一大スペクタクル超大型作品に仕上がっています。

何せ話題が豊富すぎて、人物名、出来事をメモっておかないと何が何だかわからなくなってしまいそうで、読み進めるのも大変でした。その分読後感はまとめて2冊分読んだくらいの達成感がありました。

主要人物のキャラクターがジェームズ.ボンド顔負けの個性派ぞろいです。バトル警視は頼もしくて冷静沈着、愛嬌たっぷりの行動派アンソニー、楽天家でユーモアたっぷりの才色兼備ヴァージニア。

この3人で別の物語がいくつも造れそうです。それとケイタラム卿の生まれながらの貴族的、優雅な快楽主義者。何事もよきにはからえ、のユーモラスなキャラも憎めないです。

逆に大泥棒キング.ヴィクター。最後捕まりましたが、あまり印象に残らなかったですね(他のキャラが個性的すぎて)

アンソニーがニコラス王子というのもびっくりでしたね。ファンタジーとしても楽しめました、この作品。

夜中の検討会のシーンが印象に残りました。この時の会話で話の内容がつかめましたし。

ところどころのバトル警視のセリフがこの作品の見どころをつかんでいて味わい深いです。

「アマとプロが協力しあい、互いの持ち味を生かした仕事をする。一方は知識、一方には経験がある」

「上流階級の人間は恐れることを知らず、ウソをつかず、時々まったくばかげたことをする」

アンソニーの生まれ持った高貴な血は争えないのです。皆が彼に対して好感を持つし、ポリスは自分の主人として仕えるし。

この話の続編「七つの時計」には、バンドルやビル、ケイタラム卿が活躍するそうで、そっちも楽しみです。バトルとポアロが登場する「開いたトランプ」も気になります。

てんこ盛りの登場人物

アンソニー.ケイド キャッスル旅行者案内役、ニコラス王子(ミカエル王子のいとこ)

ジェイムズ,マグラス ケイドの友人

ヘルツォスロヴァキア(オボロヴィッチ王家)

前国王 ニコラス四世 7年前暗殺

女王 パリの芸人、ポポフスキ女伯、ヴァラガ女王、アンジュール.モリ

ミカエル.オボロヴィッチ王子(スタニスラウス伯)

従者 ポリス.アンチューコフ

侍従武官 アンドラーシ大尉

スティルプティッチ伯 ヘルツォスロヴァキアの元首相、パリで死亡

ケイタラム卿 チムニーズ館所有者、9代目クレメント.エドワード.アリステア.ブレッド

8代目 兄ヘンリー、細君アルミア

娘 バンドル(アイリーン)

執事 トレドウェル

ジョージ.ロマックス(コターズ) イギリス外務省高官(ワイヴァーニー.アビー)

秘書 ビル.エヴァズレー

ヴァージニア.レヴィル ロマックスのいとこ(元夫ティム)

その妹 ダルシー、ティジー(ガーグル、ウィンクル)

ハーマン.アイザックスタイン 全英シンジケートの代表

ロロプレッティジル男爵 ヘルツォスロヴァキア王政擁護者(ロロポップ)

ジュゼッペ.マネリ ロンドンのホテルのウェィター

ハイラム.P.フィッシュ チムニーズ館の客、アメリカ人(実はアメリカの探偵)

バトル警視 ロンドン警視庁刑事

メルローズ大佐 州本部長

バジャリ警部、ジョンソン巡査、州の警察

ルモワール パリ警視庁刑事

ブラン ケイタラムの仏家庭教師、ジュヌヴィエーヴ、ブルテイユ伯夫人の紹介

ウインウッド教授 暗号のプロ

キング.ヴィクター フランスの宝石泥棒(キャプテンオニール)

レッドハンド党 王政反対派

ジョリー.クリケッターズ アンソニーの泊まった宿屋

ボールダーソンアンドホジキンズ社 回顧録を渡す新聞社

グラナーズキャッスル号 アンソニーがイギリスへ渡った船

ブラワーヨ アフリカジンバブエの市

ヘルツォスロヴァキア バルカン諸国の一つ 首都エカレスト

コーイヌール 世界最大のダイヤモンド

2022.1.21記

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