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アガサ・クリスティー 読書感想文

鳩のなかの猫

この作品は1959年発表、アガサクリスティ69才の時に描かれた、有名女学校を舞台にした学園もののサスペンス物語です。

女学校とエルキュール.ポアロとはちょっと結びつかないと思いましたが、読んでみるとなかなか面白い作品でした。

まず、登場人物が数人除いてみな女性だという事。教師、生徒、保護者とたくさん登場しますが、それぞれの個性や容貌が詳しく描かれていて、又個性豊かな人が多いので、会話のやりとりだけでもわくわくしてくる事。そのへんは女性の心理を描くのが得意なアガサクリスティの腕が光っています。

そして学校生活の中でのやりとりが主なので学園ドラマみたいな親近感があるので抵抗なくすらすら読み進めます。

あと、中東のお国の革命、殺人事件、誘拐事件、宝石探しと内容が盛りだくさんなので、学園サスペンス中心とはいえ、謎ときにスリルがあって最後まで飽きさせなかったです。

今回はポアロの登場がページ数で3/4程進んだところでやっと始まるのと、その出番もオブザーバーというかドラマでいう友情出演みたいな感じで、ポアロファンには物足りない感じがあったかもしれませんね。

それでもポアロの登場で、それまでの謎が一気に解けていく感があるのはさすがです。

話の中にありましたが、もつれた毛糸のかたまりから求めている一色の糸を抜き出すような作業、いいたとえです。

そして会話の中にはいくつかの伏線があります。軽く読んでいると後で重要だった事が出てきますので注意がいります。

例えば最初の方のボブが姉の部屋に入ってある事をしているシーンを隣室から覗く女の存在、校長先生と話をしているアップジョン夫人が誰かを見てびっくりしているシーンとか。私もあとで見直したくらいです。

そしてアンジェリカ、バイクアウェイ大佐、ロビンスン、アダム.グッドマンたちの存在でスパイ物のスリルも充分味わえます。

中東のラマット王国の革命話は昔話みたいな感情しました。血なまぐささがなくて、もしかして国王とボブがどこからか出てきそうで。

先に読んだ「フランクフルトへの乗客」が世紀末感ありすぎだったので余計にそう感じたのかもしれません。

女性同士の嫉妬、妬みや愛情といったものがよく描かれていて、最後は国王の

落とし種まで現れて、最後までほんわか感あふれる作品だったと思います。

メドウバンク校に明るい未来が来ることを祈っています。

謎が1つ。国際紛争を回避すべく活躍するロビンスン氏は何者?

鳩の群れの中の猫

騒ぎ、面倒を起こすという意味の英国流の言いまわし

登場人物

エレノア.ヴァンシッタート ドイツ語と歴史の先生

オノリア.バルストロード メドウバンク校の校長

チャドウィック 数学の先生 メガネ、猫背

アン.シャプランド 校長の秘書、35才、彼氏デニス

エルスペス.ジョンソン 寮母

アンジュール.ブランシュ フランス語の先生、新任

アイリーン.リッチ 英語と地理の先生

ローワン 経済、心理学、やせ浅黒

ブレイク 物理、植物学、ぽっちゃり、色白

グレイス.スプリンガー 体育の先生、新任(前任ジョーンズ先生)

シャイスタ 王女(イブラヒム大公の姪)

ジュリア.アップジョン 生徒

レディ.ヴェロニカ.カールトン.サンドウェイズ 酒飲み

アリ.ユースフ ラマット国国王

ボブ.ローリンスン 国王のお抱えパイロット

ジェニファー.サットクリフ ボブの姉、

ジョン.エドマンドスン 外務省、ボブの友人

ロニイ(アダム.グッドマン) 園丁

バイクアウェイ 公安課大佐

ロビンスン 謎の男

アンジェリカ.デ.トレド ジュアン.サットクリフ隣室の女

ケルシー 警部

ヘンリー,ハンクス 理事長

ブリッグズ 年長の園丁

ギボンズ コック

2022.2.8記

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