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アガサ・クリスティー 読書感想文

マギンティ夫人は死んだ

おいしい食事を終えて、旧友ヘイステイングズを思い出しながら帰宅したポアロを待っていたのはもうじき退官するスペンス警視。

彼はポアロに死刑の判決が出ている容疑者だが、自分には彼が犯人に思えない、ポアロの腕を見込んで事件を洗い直してほしいと頼まれ、調査に乗り出すポアロ。名探偵と名乗っても誰も信じてもらえず、下宿屋でボロい部屋とまずい食事にへきえきするポアロが愉快。

聞き込みで夫人が買ったインクのビンから新聞への投稿や見た記事からヒントを得て捜査に乗り出したポアロでしたが訪ねる家のとの女性も皆怪しく思われました。

戦争のせいで昔の身元等を調べる書類がないことも一因で、さすがのポアロも手を焼いていて、こっちも成り行きをはらはらしつつ読んでいました。

今回の事件は被害者がつましい庶民の婦人で、まわりの人物も一般人が多く(アップワード夫人とカーペンター氏はブルジョアですが)大富豪の死と相続人たちの争いが多いポアロの殺人事件とは違う新鮮味がありました。

ですが、真犯人はやはり金が目的だったので、その保身のための殺人だったので、犯罪にお金が絡んでるのは世の万人に共通するのですね。

この作品には昔の事件も重要なキイワードになってます。そのため昔の事件のあらすじや名前も理解がいるので、確認しつつ読むのがちょっとめんどくさかったかも(笑)

カーペンター夫人やレンデル夫人が自らの後ろめたい過去をポアロがマギンティ夫人の件にかこつけて調べてると思われ、ポアロが電車に引き殺されそうになったりして危うい時もありました。

犯人像は私の予想と全く外れてて、もしかしたらオリヴァも危なかったかもしれませんね。なんせ犯人と長い時間一緒に仕事してたんですから。

あとモード.ウィリアムズの過去も意外でした。

それにしても風采のあがらないジェイムズ.ベントリーが、モードやテアドリーに好感度高いので、彼はいい人間だったのです。

だからスペンス警視も犯人と思えなかったのですね。

今回はオリヴァのいう女性のカンではなく、ポアロの秩序と理論が的を得ましたが「干し草の山の中から一本の針を探し出す」とポアロのいう通り、サスペンスと意外性に満ちた、犯人探しに骨の折れる事件でした。でも読後感はすっきり。

ベントリーのその後のロマンスを祈ります。

登場人物

マギンティ夫人 掃除婦

スペンス キルチェスター警察の警視

ジェイムズ.ベントリー マギンティ夫人の間借人、ブリーザー&スカットルズに勤務していた

モーリン.サマーヘイズ ロング.メドウズ下宿のおかみ

ジョン モーリンの夫、少佐 父大佐

ベッシー.バーチ マギンティの姪

ジョー ベッシーの夫

モード.ウィリアムズ スカットルズ商会の女事務員

ミセス.スイーティマン 郵便局

ミス.パメラ.ホースフオール 新聞記事書いた女

ドクター.レンデル 医者

シーラ その妻、犯罪小説好き

ローラ.アップワード 未亡人、ラバーナムズ

ロビン.アップワード 劇作家 

ロジャー.ウェザビー テアドリーの継父

エディス ハンターズクロウズ

テアドリィ.ヘンダースン エディスの娘

ガイ.カーペンター 工業会社経営者

イヴ ガイの妻、元ミセス.セルカーク

アルバート.ヘイリング 駐在巡査

11/9(日)日曜の友新聞4つの事件

エヴァ.ケイン クレイグ事件、娘イブリン.ホープ(イブリンは男、女どちらでも使える名前)男1人、女1人(モード)

ジャニス.コートランド

リトル.リリイ.ガンボール

ヴェラ.ブレイク

2022.2.24記

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