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アガサ・クリスティー 読書感想文

第3の女

この作品は1966年発表とポアロシリーズでも後期の作品になり、登場する若者たちの服装や風俗なども現代に近づいてるのが感じられます。

若者は良家の子女でも都会に出て家を借り、外で仕事をします。ファーストガール、セカンドガールそして題のタイトルにもあるサードガール(第3の女)

正妻、2号さん、3号さんを想像していた私はまったく見当はずれ。デイヴィッドの髪型や服装はきっとビートルズを意識してたのでしょう。それとオーペアガールという存在も後期の作品に登場するようになります(ハロウィーンパーティetc.)

オリヴァがデイヴィッドを形容して孔雀というのもうなずけます。だからハヤカワ書房の表紙も孔雀なのですね。

ノーマという若い女性がポアロを訪れて「私、人を殺したかも」と告げるが、ポアロを見て「あなたは年をとりすぎてる」と言って去って行きます。

ショックで落ち込むポアロ。オリヴァに「今の若い子にしたら35才以上の人間は棺桶に足つっこんでるみたいなのよ」となぐさめられるポアロ。ポアロとオリヴァの掛け合いがほほえましくコミカルです。ですが今回、2人は老齢にかかわらず活躍します。

特にオリヴァは知恵を使って女3人のアパートに入り込むわ、孔雀のあとを尾行し、どこまでも追跡するわの大活躍。何者かに頭を殴られてけがするのがお気の毒。

逆にポアロは頭を使いすぎるせいか、事件のパターンがつかめず、もんもんと悩んでしまいます。本人も自分は年取ったと自覚します。

殺人はあったはずなのに死体が見つからないというパターンは今までにない事件で苦悩するポアロの描写が重かったのと、ノーマというとらえどころのないキャラクター(ポアロいわく魅力のないオフィリア)の行動やセリフが支離滅裂で同調しにくかった感じがあります。

あと砒素とか現代的な麻薬や神経医が登場するのも現代に近づいた時代背景が感じられます。

犯人がなりすました夫婦だったという、びっくりするような展開でしたが、長年会っていなかったとはいえ実の父親かどうか普通わかるやろと思いますし、メアリ.フランシスというのもちょっとこじつけた感じがしますが。

ソニアはスパイ?とか思いましたがロデリック卿と結ばれ最後にロマンスがあるのはクリスティらしいです。そして出番は少ないながらもどんな時でも自分のすべき事を心得ているミス.レモン、執事のジョージはポアロ作品になくてはならない名脇役ですね。

登場人物

アンドリュウ.レスタリック 実業家の大物

メアリ アンドリュウの妻

ノーマ アンドリュウの娘(サードガール)

ロデリック.ホースフィールド アンドリュウの伯父

クローディア.リース.ホランド アンドリュウの秘書(ファーストガール)

フランシス.キャリー 室内装飾家(セカンドガール)

デイヴィッド.ベイカー ノーマのボーイフレンド

ナオミ.ロリマー オリヴァの友人

ジョン.ステイリングフリート 精神科医

ニール 主任警部

ミス,ルイーズ.シャルパンティエ 死んだ中年女性

ミス.バタースビー メドウフィールド女子学校の元校長

ソニア ロデリックの秘書

ゴビー 情報屋

(オーペア)女書生 イギリスの中流家庭に寄食し、家事の手伝いをしながら勉学などをする外国人の娘

(クロスヘッジ) ロデリックの屋敷

ボロディン.メゾンズ ノーマたちの住んでるところ

2022.3.25記

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