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アガサ・クリスティー 読書感想文

教会で死んだ男(短編集)

①戦勝記念舞踏会事件

パーティーで参加していたクロンショー卿がナイフで刺されて死亡し、別の所でコカイン中毒で死んだ卿の女性との関連は?開催されたイタリア喜劇の登場人物からポアロが犯人を見つける

②潜水艦の設計図

中編「死人の鏡」収録、謎の盗難事件の原型

③クラブのキング

ブリッジをしている家に急に血まみれで逃げてきた女優。高貴な男性と、結婚を妨害された男が殺されていた。その女優はその家の元家族であった話

④マーケット.ベイジングの怪事件

「死人の鏡」収録ミューズ街の事件の原型

自殺した男を彼を好きな女性が男を脅迫していたとして殺人犯にみたてるが、ポアロはタバコの煙のにおいがしないのと、男が左ききなのを見抜いてしまう。

⑤二重の手がかり

パーティーで盗まれた宝石類をとり戻したポアロ。盗んだ相手はヴェラ.ロサコフ夫人。イニシャルB.Pはロシア語ではV.Rとなる。2人の運命的な出会いの話。

⑥呪われた相続人

名門リムジェリア家では長男は家督を相続できないという言い伝えがある。昔、不貞をはたらいた妻とその子が無惨に殺された呪いらしい。ポアロが捜査するとそれは内部の伝説にとりつかれた異常者の仕業だった(似たような話どこかにあり)

⑦コーンウォールの毒殺事件

夫に毒殺されると訴えてきた中年女性。ポアロが行くと女性は死んでいた。同居していた姪の恋人が金欲しさで女性とその姪両方を色仕掛けにし罪を夫にかぶせていた。(似た話あり)

⑧プリマス行き急行列車

青列車の秘密の原型

プリマス行き急行列車に女性の死体が発見される。彼女はアメリカ鉄鋼王の娘で携帯していた宝石類が消えていた。途中メイドを駅に残し、戻ってくるからと言って立ち去ったまま殺されたと推定されたが、メイドは実は犯人の協力者だった。ポアロ曰く「私立探偵は優秀な心理学者であらねばならない」

⑨料理人の失踪

急に失踪した中年女性の料理人。心配して探してほしいと家の奥方に頼まれるが、同居人の銀行員の横領をカモフラージュするための芝居であった話

⑩二重の罪

旅行途中、同行した美少女と伯母の骨董屋の共謀。不当きわまるバス旅行の運賃。詐欺にあった外国人が気の毒で怒り狂うポアロ。エルキュール.ポアロは外国人の味方なんだ❗

⑪スズメ蜂の巣

死の宣告を受けた青年が、自分の女を取った友人を罪に陥れようと青酸カリを手に入れるが、ポアロに阻止され、己の邪心を克服しポアロに感謝する。

⑫洋裁店の人形

ある日突然、洋裁店にあった人形。まるで自分から動いているように場所を変えるので気持ち悪くて窓から捨てたら小さい少女に拾われ、この人形はかわいがってもらいたかっただけなのよ、と言われ唖然とする。

⑬教会で死んだ男

教会の中で倒れてる男の背広から荷物引取証を見つけたパンチは預けていたスーツケースをマープルの機転で盗人の宝石箱を手にする。死んだ男の娘を自分が幸せにしてやると神に誓う。

全体の感想

この作品は1982年に早川書房より刊行されたアガサクリスティの比較的初期の短編を集めた短編集で、ポアロ物11作、マープル物1作、怪奇小説1作の計13作品が収められています。ポアロ物はヘイスティングズの語り口で書かれたものが多く、読んでいくと「あれ、どこかで読んだな」と思われる作品が多いのに気付きます。

②④⑥⑦⑧はこののち中編もしくは長編作品の原型といった作品で、知っている人には少し物足りないと思うかもしれません。

⑤では懐かしいヴェラ.ロサコフ夫人が登場します。

私の一番好きな作品は⑪。⑬のマープル物はマープル作品のどこか素朴でほのぼのとした余韻が感じられ、パンチの明るい性格が好ましい作品です。

2022.4.13記

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