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アガサ・クリスティー 読書感想文

七つの時計

この作品は1929年に発表されたノンシリーズの作品の1つで「チムニーズ館の秘密」の4年後に設定され、バトル警視が登場する第2作の作品です。

前作で登場した愛すべき人物たちが登場します。ケイタラム卿にバンドル、ロマックス、外交官のビル.エヴァズレー、そしてバトル警視。

前作では影の薄かったバンドルは今回は主役級の大活躍(ほぼ主役)。車はぶっ飛ばしてロニーを引き殺す(寸前)や、セヴン.ダイヤルズという秘密結社のアジトに単身乗り込み潜伏するや、おてんばぶりを最大級に発揮してます。

大事におおらかに育てられたせいか性格も素直で嫌みがない。「なぜ、エヴァンズに、、、」のフランキーやトミー&タペンスシリーズのタペンスに共通するキャラクター。

その父親のケイタラム卿とのやりとりが底抜けに楽しい。本人たちは意識してないんでしょうが、現代の日本で充分親子漫才が通用するレベル。

前回と引き続き女好きな外交官ビル。前作では見事に振られましたが今回はしっかりバンドルのハートを射止めましたね。そして頼りがいのあるバトル警視。

個人的には内容も登場人物もごっちゃ混ぜにした「チムニーズ館の秘密」よりは内容も小ぶりながら、すっきりとまとめられていてこっちの作品の方が読みやすかったです。

冒頭から登場するジミーが犯人という設定は「チムニーズ、、、」で冒頭で登場するアンソニーが亡国の王子であったというのとパターンが似ているかな。後から考えると仕事もせず、優雅な生活を送っているし、身近な所にいるからいろいろな事ができたのだと察する点はありましたね。レイディ.マライア.クートの悲劇的なキャラがまた愛らしい。

この作品の発表当時、アガサクリスティはプライベートでも大変な時期だったらしいですが、そんなことは感じさせない明るくテンポのいい作品です。

ビルの同僚の外交官たちのキャラが薄い。セヴン.ダイヤルズのメンバーが全然悪役でないのに何故仮面つけてるの?とか、ジュリーの妹ロレーンがジミーと手を組んでたり、思うところは色々ありますが、あんまり気にしないでおきましょう(笑)

登場人物

ケイタラム卿 侯爵、チムニーズ館の所有者

アイリーン.ブレント(バンドル) ケイタラム卿の娘

トレドウェル 執事

ジミー.セシジャー チムニーズ館の客、従僕スチーブンス

サー.オズワルド.クート 鉄鋼王

レイディ.マライア.クート オズワルドの妻

マクドナルド チムニーズ館の庭師頭

ルーパート.ベイトマン(ポンゴ) オズワルドの秘書

ヘレン.ナンシー.ソックス チムニーズ館の女客人たち

ビル.エヴァズレー 外交官(ジョージの秘書)

ロニー.デヴァルー 外交官

ジュリー.ウェィド 外交官

ロレーン ジュリーの妹

カートライト 医師

ジョージ.ロマックス(コダーズ)外務次官(ワイヴァーン屋敷)

サー.スタンリー.ディグビー 航空大臣

テレンス.オルーク 秘書官

ヘル.エーベルハルト 発明家

アンナ.ラツキー 伯爵夫人

モスゴロフスキー セヴン.ダイヤルズ.クラブの経営者

アルフレッド 元チムニーズ館の従僕

ジョン.ガウアー 新しく入った従僕

2022.4.22記

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