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アガサ・クリスティー 読書感想文

バグダッドの秘密

この作品は1951年に発表されたノンシリーズで中東を舞台にくり広げられるスパイアクション物です。

ノン.シリーズのスパイアクション物には若い元気な女性が主役のものが多いですが、ヴィクトリアもその例にもれず、スーパーポジティブなキャラクターです。

おしゃべりがすぎて会社をクビになった矢先に出会ったハンサムなエドワードに一目ぼれ。お金もろくにないのに彼を追っかけてバグダッドまで行ってしまいます。

そこで冷戦下のスパイ活動にまき込まれてしまい、自らの生命の危険にもさらされてしまいますが、持ち前の機転と運が幸いして、というお話です。

あまりにスリリングでハプニングの連続で、読んでて楽しいことしかりです。

ただこのヴィクトリア、超嘘つきで私文書偽造なんか普通にやってしまうし、金もないのにホテルでフルコース料理をたいらげたりやってのけるので、人によっては好みが分かれるキャラクターだと思います。

話の終盤、エドワードの本性を知って愕然とするヴィクトリア。 命がけでスパイ活動をするヘンリー。そして考古学への熱い情熱を燃やすリチャード等、エドワード以外の男性キャラクターが好感度高かったのは「死への旅」を思い出させます。

もう一人、バグダッドに来た女性アンナ.シェーレの活躍をもっと見たかったかなと思います。

軍人上がりのエドワードへの恋がさめて考古学者リチャードとのロマンスが芽生えるのはまるでアガサクリスティのたどった道を描いているのでしょうか?

この作品はアメリカでめちゃめちゃ売れたそうですが、底抜けの明るさとスリリングな筋書きが受けたのかもしれませんね。

登場人物

ダキン 石油会社幹部

クロスビー大尉 ダキンの部下

ヘンリー.カーマイケル イギリス秘密諜報員

アンナ.シェーレ 銀行頭取秘書(オットー.モーガンサル頭取)

ヴィクトリア.ジョーンズ タイピスト

エドワード.ゴワリング ラスボーン博士の秘書 

ラスボーン博士 オリーヴの枝の会会長

エルシー アンナの姉

リチャード.ベイカー 考古学者、カーマイケルの友人

ボーンスフット.ジョーンズ博士 考古学者

ジェラルド.クレイトン 総領事

マーカス.ティオ ホテルの経営者

サー.ルーペート.クロフトン.リー 旅行家

ライオネル.シュリベェナム イギリス大使館書記

アブダル.スライマーン アラブ人

2022.5.9記

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