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アガサ・クリスティー 読書感想文

牧師館の殺人

この作品は1930年に発表された全12編あるミス,マープル物長編の最初の本です。

マープルの住むセント.メアリ.ミード村の牧師館で、村で嫌われ者のプロザロー大佐がピストルで打たれて死んでいるのが発見されます。村に来ていた画家のローレンスが自首し、事件が解決したと思いきや、彼と恋愛関係にあった大佐の妻が、本当は自分がやったと自首し、どちらも無罪と判明され、捜査は振り出しに。

ここで村の事は何でも知っているマープルが得意の人間観察力を行使し、難事件を解決します。

私はマープルシリーズを今まで10作読んでいますが、第1作のこの作品は読みたいと思いながらなかなか手に入らず、やっと手に入れ、わくわくしながら読みました。

今までの作品でも登場したり、名前があげられたりしたことのあるひとが出てきたりして、妙に懐かしい気分になりました。マープル自身も初期の頃の作品では詮索好きの田舎のおばあさん的なイメージから作品が進むごとに弱気を助け、悪を憎む復讐の女神へと変化していくので、マープル物に関していえば、発表順に読む方がより理解が深まり楽しめたんじゃないかと思います。

この作品に出てくる人々も個性派ぞろい。

うわさ好きのオールドミス3人娘?ミス.ウェザビー、ミス.ハートネル、マープルそしてリドリー夫人はいつになく、天然なグリゼルダ、天真爛漫なメイドのメアリ、ツンデレ風のレティスなど、現代人でもそこらにいそうなキャラで、嫌われ者のプロザロー大佐もどこかの家にいる頑固親父で、何かあった時には便りになる人かも。

世の中をミニチュアにしたようなセント.メアリ.ミードの住民たちがとてもほほえましい。ただこの作品では住民にマープルが詮索好きで腹黒いばばあと言われてるみたいで(笑)

牧師の語りが誠実さを感じさせます。作中でマープルが語った名セリフがあります。

「若い者は年寄りはバカだと思ってるけど、年寄りは若者がバカだと知っている」

いつの世でも変わらないのですね。

登場人物

レイモンド.ウェスト マープルの甥、作家

ルシアス,プロザロー大佐 治安判事

レオナルド.クレメント 牧師

デニス クレメントの甥

グリゼルダ クレメントの妻

メアリ クレメントのメイド

ホーズ 副牧師

マープルの友人 プライス,リドリー夫人、ミス.ウェザビー、ミス.ハートネル

ストーン博士 考古学者

グラディス.クラム ストーン博士の秘書

エステル,レストレンジ夫人 謎めいた女性

ヘイドック 医者

ローレンス.レディング 画家

レティス,プロザロー 大佐の娘

アン 大佐の妻

ハースト 巡査

スラック 警部

メルチェット 警察本部長

アーチャー ならず者、メアリの恋人

セント.メアリ.ミード村マープル邸付近図

2022.3.9記

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