カテゴリー
アガサ・クリスティー 読書感想文

モノグラム殺人事件

この作品は、アガサクリスティ亡き後2014年にソフィー.ハナによって書かれたクリスティ社公認のエルキュール.ポアロ続編第1作目です。

いわゆるポアロのパスティーシュとして興味を覚えて読みはじめました。時代背景は1920年代を想定しているとの事でしたが、いくつかの点でアガサの書くポアロ作品との違和感がありました。

まずポアロですが自信家なのは今までどおりでしたが、ユーモラスさはなく、かなりの皮肉屋。特に相棒のキャッチプール君に対してはきつい口調で「君を一人前の刑事にするために、、」とか言ってたりする。(ヘイスティングズに対しては死んでも言わなかっただろう、、)新相棒キャッチプール君は心にトラウマをかかえていて、死体に弱くてもプライドは高いからめんどくさい性格。何かにつけて趣味のクロスワードパズルに当てはめようとするところが鼻につきました。比べてはいけないけれどヘイスティングズの天然で陽気なところが懐かしく思えます。

それ以外のキャラクターに対しても謎解きが複雑だったせいか感情移入する人がいなかったです。特にジェニーに対しては親近感が全く持てないどころか逆に嫌悪感を抱いた程です。数少ない好人物のマーガレットにすらキャッチプール君に対しても「明日、明日」とか回りくどい言い方が鼻についてあまり好印象を持てなかったです。

全体的に他の方々の感想にもありましたが、回りくどい表現(いちいち被害者3人の名前を全てフルネームで呼ぶなど)が多く、会話も詰問口調で(特にポアロとキャッチプール君とのやりとり)すらすらと読み進められなかったのは確かです。

作品自体としてはアガサを思わせる登場人物の出し方、メイドや使用人が重要な役どころを演じる事、最後にはロマンスが芽生えることなどはまずまず良かったです。

謎解きはかなり複雑でおどろおどろしい描写もあり、読後のすっきり感は味わえず、モヤモヤしたものが心に残りました。

作風も翻訳のせいか堅苦しくすらすら読み進められなかったですね。

作者ソフィー.ハナは1971年生まれのイギリスの詩人、小説家。

ミステリ.ウォーターハウス&ザイラーシリーズ第1作「Little Face」が有名で、アガサクリスティの大ファンでスリラー小説が得意。

複雑な謎解きは彼女の特徴らしいです。

続編第2作「閉じられた棺」が発表されていますがそれを読むか読まないか、気持ちは今のところ五分五分です。

登場人物 

ジェニー.ホッブズ 謎の女

エドワード.キャッチプール スコットランドヤードの刑事

ユーフィーミア(フィー).スプリング プレザントコーヒー館のウェイトレス

ブランチ.アンズワーズ ポアロの下宿のオーナー

ルカ.ラザリ ブロクサムホテル支配人

ハリェット.シッペル 被害者121号

アイダ.グランズベリー 被害者317号

リチャード.ニーガス 被害者238号

、デヴォン、窓開いてた

ジョージ ハリェットの夫

上の3人グレートホリング村

ジョン.グッド フロント係

トーマス.ブリッグネル フロント見習い

ヘンリー.ニーガス リチャードの弟

ラファル.ボバク ウェイター

サミュエル.キッド 目撃者、ボイラー係

スタンレー.ビア 巡査

ヴィクター.ミーキン キングズ.ヘッド.インのオーナー

ウォルター.ストークリー ホリング村の老人

フランシス.マリア.アイヴ パトリックの妻、ウォルター老人の娘

パトリック.ジェームズ.アイヴpij 教区司祭

マーガレット.アーニスト 後任司祭(チャールズ)の妻

アンブローズ.フラワーデイ 医師

ナンシー.デュケイン 肖像画家、メイド タビサ、夫ウィリアム校長

セント.ジョン.ウォレス 貴族、画家、バセットハウンド

ルイーザ.ウォレス ジョンの妻、メイド ドーカス

アルビーナス.ジョンソン ナンシーの父

*パスティーシュ=模倣

2022.6.17記

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA