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アガサ・クリスティー 読書感想文

牧師館の殺人

この作品は1930年に発表された全12編あるミス,マープル物長編の最初の本です。

マープルの住むセント.メアリ.ミード村の牧師館で、村で嫌われ者のプロザロー大佐がピストルで打たれて死んでいるのが発見されます。村に来ていた画家のローレンスが自首し、事件が解決したと思いきや、彼と恋愛関係にあった大佐の妻が、本当は自分がやったと自首し、どちらも無罪と判明され、捜査は振り出しに。

ここで村の事は何でも知っているマープルが得意の人間観察力を行使し、難事件を解決します。

私はマープルシリーズを今まで10作読んでいますが、第1作のこの作品は読みたいと思いながらなかなか手に入らず、やっと手に入れ、わくわくしながら読みました。

今までの作品でも登場したり、名前があげられたりしたことのあるひとが出てきたりして、妙に懐かしい気分になりました。マープル自身も初期の頃の作品では詮索好きの田舎のおばあさん的なイメージから作品が進むごとに弱気を助け、悪を憎む復讐の女神へと変化していくので、マープル物に関していえば、発表順に読む方がより理解が深まり楽しめたんじゃないかと思います。

この作品に出てくる人々も個性派ぞろい。

うわさ好きのオールドミス3人娘?ミス.ウェザビー、ミス.ハートネル、マープルそしてリドリー夫人はいつになく、天然なグリゼルダ、天真爛漫なメイドのメアリ、ツンデレ風のレティスなど、現代人でもそこらにいそうなキャラで、嫌われ者のプロザロー大佐もどこかの家にいる頑固親父で、何かあった時には便りになる人かも。

世の中をミニチュアにしたようなセント.メアリ.ミードの住民たちがとてもほほえましい。ただこの作品では住民にマープルが詮索好きで腹黒いばばあと言われてるみたいで(笑)

牧師の語りが誠実さを感じさせます。作中でマープルが語った名セリフがあります。

「若い者は年寄りはバカだと思ってるけど、年寄りは若者がバカだと知っている」

いつの世でも変わらないのですね。

登場人物

レイモンド.ウェスト マープルの甥、作家

ルシアス,プロザロー大佐 治安判事

レオナルド.クレメント 牧師

デニス クレメントの甥

グリゼルダ クレメントの妻

メアリ クレメントのメイド

ホーズ 副牧師

マープルの友人 プライス,リドリー夫人、ミス.ウェザビー、ミス.ハートネル

ストーン博士 考古学者

グラディス.クラム ストーン博士の秘書

エステル,レストレンジ夫人 謎めいた女性

ヘイドック 医者

ローレンス.レディング 画家

レティス,プロザロー 大佐の娘

アン 大佐の妻

ハースト 巡査

スラック 警部

メルチェット 警察本部長

アーチャー ならず者、メアリの恋人

セント.メアリ.ミード村マープル邸付近図

2022.3.9記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

未完の肖像

この作品は1934年に発表されたメアリ.ウェストマコット名義の作品です。メアリ.ウェストマコット名義の6作品のうち私が最後に読んだのがこの一冊でした。

内容としては一女性の半生を描いた小説で、特に世間を騒がすような出来事があるわけでもなく、はっきり言って退屈な、無駄に長い小説という感じが残りました。

ただこの作品はアガサ自身が母親の死、夫との離婚、失踪事件という不安定な時期を過ごした後に描かれた、自身の半生の自伝を持つ作品でもあると考えると、アガサクリスティをより深く理解するには必要な本だと言えます。

そうすると、1作品としては不出来ではあるが、アガサがどうしても描きたかった自分自身の心のうちを書くために、絵を描けなくなった肖像画家が絵筆のかわりにペンをとって1女性の半生を書いたという形でカモフラージュした形の作品だと解説者が言ってるのもうなずけます。

主人公シーリアの半生について、読みながら反感を覚えること、共感する点など幾つかありました。

まず、何一つ不自由ない子供時代。両親や祖母の愛情たっぷりに育ち、適齢期には美しく成長し、求婚相手にはこと欠かす、夜毎パーティー等で遊びまくってる、なんてうらやましくって仕方ない。ところがいざ結婚となるとダーモットのような個性的でアクの強い自分勝手でお金もない究極のダメ男を選んでしまうのです。そこが昔も今もそういう男に女は惹かれるんですね。

性格の合わない娘、お金ができ浮気する夫に対する悩みは世の母親全てに共通するものですが、それまで苦労を知らないシーリアにとってはかなりの苦痛だったのでしょう。世間知らずのシーリアにはピーターのような穏やかな男性がふさわしかったかもしれませんね。

離婚され、再婚する相手からも「いつまでも美しいままでいて下さい」と言われ、その言葉はシーリアにとっては死刑宣告のように受け、自ら生命を断とうとする彼女に、神からの使者のごとく登場した片腕の肖像画家。

彼との一夜で、それまでの自分をさらけ出し、別れる間際に彼の片腕を見たシーリア。

彼女はそこで生きる希望を見い出したのだと思います。一度踏み出していた物語を生み出す仕事に彼女が歩み出す姿が私には感じられました。

同じ女性として私も希望を持って人生を歩んでいきたいです。

登場人物

シーリア 主人公

スーザン メイド

シリル 兄

ゴールディー カナリアの名

ラウンシー(ラウンスウェル) コック

ジョン 父

ミリアム 母

ジャンヌ 小間使い

グラニー 祖母

ドーバラ 少佐

ピーター.メイトラント 外地勤務の軍人

ジム.グラント 農業青年

ジュディー シーリアの娘

デンマン ナニー

ケート メイド

2022.6.21記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

殺人は容易だ

何といってもこの作品は冒頭の出だしがたまらなく小気味いいです。

退役した元警察官の主人公、イギリスに帰って来て、ロンドン行きの列車に乗り遅れたりして、ちょっとおっちょこちょい。文句を言った先のポーターに逆ギレされるわで。

列車で偶然乗りくわした(ミス.マープルを思わせる)品のいい老婦人から、村で連続殺人が起きていて、自分は目つきからその犯人を知っている。それを話しにロンドン警視庁に今から行くといって別れました。

数日後、その老婦人が車にひかれて死亡した事を新聞でルークは知り、そのまた数日後、その婦人が次はあの人が殺されると話していた医者が死亡した事を知り、さすがにこれは本当かもと、調査にのり出します。

こうなるともう今後の展開にどきどき、わくわくしないわけにいきません。

行く先の村の名はウィッチウッド.アンダーアッシュでいかにも魔女の出てきそうな所で、友人のいとこブリジェットもほうきに乗った魔女の顔みたいらしく、骨董屋の主人は黒魔術大好きでそういうミサを行っているという、オカルト味がたっぷり感じられます。あと、本のあとがきが面白く本書の理解にとても役立ちます。

なぜ主役が素人探偵でそれも男なのか?

クリスティのノンシリーズ物には若い女性が主役をはる作品が多いのですが、この作品においては主役たるルークの重大な思いちがいが犯人の予想を読者に混乱させるから面白くなるので、素人探偵だからこそ主役にふさわしい。

逆にマープルやポアロじゃ間違える訳がないでしょうし、男を主役にしたことで女性の登場人物のキャラクターが際立ってよりオカルト味が増したように思われます。

話のどこかでロマンスが芽生えるのもクリスティらしいです。

この作品は1939年作でクリスティの油ののった時期らしく、この頃には名作がどんどん発表されていたそうで、あの名作「そして誰もいなくなった」が世に出るのはこの後しばらくの時期と聞けば面白くないはずがありません。

登場人物も多いですが、それぞれ個性豊かに描かれていて、あのおなじみのバトル警視も登場して(最後のほんの少しの出番だったのが残念でしたが)仕事漬けの私のGWを楽しませてくれた一冊です。

バトル警視が少しでも登場すると話が引き締まりますね。安心して読めるというか、やはりバトル警視はすごいわ!!

登場人物

ルーク.フィッツウィリアム もと植民地駐在警察官

ジミー.ロリマー ルークの友人

ラビィニア.ピンカートン ウィッチウッド村の老婦人(ミルドレッドおば似)

ジョン.E.ハンブルビー 医学博士、娘ローズ

ブリジェット.コンウェイ ジミーのいとこ、ホイットフィールド卿の秘書

ゴードン.ホイットフィールド卿 週刊誌の経営者

アンストラザー夫人 ブリジェットの叔母

ジョフリー.トーマス ハンブルビーのパートナー

ホートン少佐 退役軍人、妻リディア、犬(ブルドッグ、ネロ、ネリ、オーガスタス)

アポット 事務弁護士

アルフレッド.ウェイク 教区牧師

エルズワージー 骨董屋の主人、黒魔術

ハリー.カーター 居酒屋主人、娘ルーシー

トミー.ピアス 村の腕白小僧

エイミー.ギブズ お手伝い、叔母チャーチ夫人

ホノリア.ウェィンフリート 図書館員

ウォンキー.プー ホノリアのペルシャ猫

ジム.ハーヴィ 自動車修理工、エイミーと婚約していた

リード 巡査

ジョウンズ 銀行の支店長

リヴァーズ ホィットフィールドの運転手

バトル警視 ロンドン警視庁の警視

2022.5.6記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

フランクフルトへの乗客

1970年、アガサクリスティ80才で書かれたこの作品は、私がクリスティの本を読む時に参考にしている「アガサの攻略本」でかなり酷評され、ネットの読書感想でも評判が悪く、ぶっちゃけ駄作扱いされて(アガサ様、申し訳ありません)いました。

ですが、アガサクリスティの作品全てを読破するのを目指す私としては読みとばす気はさらさらなく、どういうふうにつまらないかと、別の意味で期待を込めて読んでいきました。

確かに読みづらい点がいくつかありました。

まず、登場人物が多すぎる。登場人物紹介も(かなり割愛したのですが)ピンポイントでしか出ない人々、あまり重要でない人物名は省略しました。

それと大佐や政治家等たくさん出ますが一部の人を除き個性がないので記憶に残らない。

二人が空港で出会い、スタフォードを仲間に入れるとこまではわくわく感がありましたが、その後のスタフォードの活躍が全く描かれていないのが残念。

途中からは各国のお偉方たちの会話のやりとりで話がどんどん進み、どんどん話が大きくなり、いつの間にか終わっていたという感じで、その間はドキュメンタリー作品を読んでいる気がしました。その為、話の内容に感情移入することがなかったです。

ただマチルダおばとスタフォードのやりとり、マチルダおばがシャルロットばばあに会いに行ったのも、スタフォードを守るおば心の行為だったのかな、と思われた事、それからエピローグでの結婚式のやりとりのシーンにほんわか感がありました。マチルダおばにミス.マープルの面影がしのばれた感じがしました。

思うにこの本が書かれた当時のイギリスの状況を考えると、こういう本が出るのも無理はないかと思いました。

失業問題や学生運動が多発してアナーキズムが呼ばれてあちこちの途上国で革命やテロが発生している時代でしたから。

ベンヴォ計画は結局成功したのでしょうか?成功するにしてもほとんど死にかけの人が急に元気になるってのもどうかと思います。少なくとも純粋な推理小説好きの人にはおすすめできない一冊です。

ただスタフォードは魅力的なキャラクターですし、メアリ.アンもカッコいい、マチルダおばはいうに及ばずですので、この人たちの今後の活躍を想像して(笑)感想を終わりたいと思います。

登場人物

サー.スタフォード.ナイ 外交官

ゴードン.チェトウィンド スタフォードの上司

マチルダ.クレックヒートン スタフォードのおば

エミー.レザラン メイド

メアリ.アン=レナータ.ゼルコウスキ女伯爵=ミス.ダフネ.テオドファヌス

マンロー 大佐

パイカウェイ 大佐

ヘンリー,ホーシャム 保安

ブラント 提督

サー.ジョージ.パッカム 次官

ミリー.ジーン.コートマン=アメリカ大使夫人(ポケット.ヴィーナス=ジュアニータ)、夫サム(アメリカ大使)

ロビンスン

ロード.アルタムウント卿

ジェイムズ.クリーク アルタムウント卿の補佐

セドリック.レーゼンビー 英首相

シャルロッテ.クラップ(ヴァルトザウゼン女伯爵) マチルダの幼なじみ

ロバート.ショーラム 物理学者

リーザ.ノイマン ショーラムの秘書

マカラック 医者

フランツ.ヨーゼフ 若きジークフリート、ヒトラーの子?

ベンヴォ計画=人間の性格を永久に変えられる

2022.2.4記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

バグダッドの秘密

この作品は1951年に発表されたノンシリーズで中東を舞台にくり広げられるスパイアクション物です。

ノン.シリーズのスパイアクション物には若い元気な女性が主役のものが多いですが、ヴィクトリアもその例にもれず、スーパーポジティブなキャラクターです。

おしゃべりがすぎて会社をクビになった矢先に出会ったハンサムなエドワードに一目ぼれ。お金もろくにないのに彼を追っかけてバグダッドまで行ってしまいます。

そこで冷戦下のスパイ活動にまき込まれてしまい、自らの生命の危険にもさらされてしまいますが、持ち前の機転と運が幸いして、というお話です。

あまりにスリリングでハプニングの連続で、読んでて楽しいことしかりです。

ただこのヴィクトリア、超嘘つきで私文書偽造なんか普通にやってしまうし、金もないのにホテルでフルコース料理をたいらげたりやってのけるので、人によっては好みが分かれるキャラクターだと思います。

話の終盤、エドワードの本性を知って愕然とするヴィクトリア。 命がけでスパイ活動をするヘンリー。そして考古学への熱い情熱を燃やすリチャード等、エドワード以外の男性キャラクターが好感度高かったのは「死への旅」を思い出させます。

もう一人、バグダッドに来た女性アンナ.シェーレの活躍をもっと見たかったかなと思います。

軍人上がりのエドワードへの恋がさめて考古学者リチャードとのロマンスが芽生えるのはまるでアガサクリスティのたどった道を描いているのでしょうか?

この作品はアメリカでめちゃめちゃ売れたそうですが、底抜けの明るさとスリリングな筋書きが受けたのかもしれませんね。

登場人物

ダキン 石油会社幹部

クロスビー大尉 ダキンの部下

ヘンリー.カーマイケル イギリス秘密諜報員

アンナ.シェーレ 銀行頭取秘書(オットー.モーガンサル頭取)

ヴィクトリア.ジョーンズ タイピスト

エドワード.ゴワリング ラスボーン博士の秘書 

ラスボーン博士 オリーヴの枝の会会長

エルシー アンナの姉

リチャード.ベイカー 考古学者、カーマイケルの友人

ボーンスフット.ジョーンズ博士 考古学者

ジェラルド.クレイトン 総領事

マーカス.ティオ ホテルの経営者

サー.ルーペート.クロフトン.リー 旅行家

ライオネル.シュリベェナム イギリス大使館書記

アブダル.スライマーン アラブ人

2022.5.9記

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愛の旋律

この作品は1930年に刊行されたメアリ,ウェストマコット名義の最初の作品で原題が「Giant’s Bread」(巨人の糧)といいます。

主人公ヴァーノンの幼い時からの生い立ちを従妹のジョー、友人セバスチャン、それからネルの4人との関係を主に話は進みます。ネルとジェーン、2人の女性との三角関係を描いた恋愛小説というよりは天才ヴァーノンが「巨人」という作品を完成させる過程を描いた大河小説というぐらい内容がびっしりつまっており

ボリュームもたっぷり(630ページほど)

私が読んだアガサクリスティの物では一番ページ数が多い作品です。

登場人物について言えば、父親ウォルターは典型的なイギリス紳士のイメージがあります。真面目でおだやかな性格、少々女好き。母親マイラは愛情豊かで世間知らずのお嬢様。ジョージ.チェトウィンドはどこまでも良い人。セバスチャンはユダヤ人だからでしょうか。誰とでもどんな時もブレずに世渡りできる現代人。ネルは女の見本のような女性で、ジョーは男を嫌いながらも男におぼれるツンデレ女性でジェーンは女にとって理想像のような完璧な人。

お金と愛の間で揺れるネルにはハラハラしましたが、ネルは最終的にジョージを選んで正解だったと思います。ジェーンのような生き方はあこがれても普通の何の才能のない女性には無理でしょう。

音楽の才能に目覚めたヴァーノン。記憶喪失のままグリーンとして生きた方が(凡人としてだが)幸せだったかもしれませんね。

音楽の天賦の才能を持って生まれてきたヴァーノン。けれどその才能を発揮して一大作品を世に出すまでには恋愛、生活、仕事等、幾多の苦しみに耐えねばならなかったと。そしてその苦しみこそが作品を生み出すための栄養となっていったのですね。

アガサクリスティ自身、若い頃オペラ歌手を目指すも挫折し、結婚、夫の愛人、離婚、失踪、記憶喪失そして再婚という人生を送っており、クリスティ自身がたどってきた半生の自叙伝とも思われます。

探偵小説では味わえない、古典小説のように人生のドラマが描かれた作品はメアリ.ウェストマコット作品でこそ味わえます。

読み終えた後、又プロローグに戻って再度読み返すと、更に理解が増すのは先に読んだ暗い抱擁と同様より心に残りました。

登場人物

ヴァーノン.ディア 天才音楽家、後のボリス.グローエン「巨人」製作者

セバスチャン.レヴィン ヴァーノンの親友、隣人、ディアフィールズ家

ウォルター ヴァーノンの父、アボッツ.ピュイサン所有者

マイラ ヴァーノンの母

シドニー.ベント ヴァーノンの伯父、マイラの兄、妻キャリー

ニーナ.ウェイト 叔母、ウォルターの妹

ジョー(ジョゼフィン).ウェイト ニーナの娘、ヴァーノンの従妹

ネル(エリナー).ヴェリカー ヴァーノンの幼な友達

フレミング 弁護士

ナース ミセス.パスカル

ナース.フランシス ジェーンのおば

ジョージ.チェトウィンド アメリカの富豪

ジェーン.ハーディング オペラ歌手

ボリス.アンドロフ 彫刻家、昔ジェーンと同棲

ラードマーガー 作曲家

ミスター,グリーン、ナース、神さま ヴァーノン子供時代の主要人物

プードル、スクアーラル、ツリー

ヴァーノン子供時代の友達

トムボーイ ヴァーノンの犬

ケアリ.ロッジ マイラのバーミンガム近くの新居

一言メモ

マン島の黄金収録「壁の中」

ヴァーノン、ネル、ジェーン似の3人の話

シリアルキラー 一月以上にわたって複数の殺人を犯す連続殺人犯

まやかし ブラマジェム

ペール,ギュントの登場人物 ソルヴェーグ

ニッカー.ボッカー ゴルフする時にイギリス紳士がはく裾の絞ったズボン

2022.5.16記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

死が最後にやってくる

この作品は1944年に発表されたアガサクリスティ物としては異色の古代エジプトを舞台にした作品です。物語の始めのレニセンブとホリの会話「災いは内から来るものと外から来るものがある」と言ったホリの言葉から物語のこれからの予言めいたものを感じさせられました。

一族の長であるインホテプが若くて美しい愛妾ノフレトを連れて帰りました。彼女の出現でそれまで閉鎖的な社会の中で抑圧されてきたその人の本性が外に現れてきました。

それが顕著に表れたのが長男のヤーモス。父親から命令され妻からはバカにされて、おとなしかったヤーモスが父親から勘当を言い渡されると、本性が芽を出したのか、ノフレトをしめ殺し、それを見ておびえるようになった妻サティピイをも殺し、殺人狂となっていく様はえに恐ろしいものでした。

ノフレトの呪いにおびえながら実の犯人はこの中にいると知ってその影におびえながら生きていくなんて気が狂いそうになるのも無理ないです。

そんな中にあって自分を見失わず生きていこうとするレニセンブ。彼女が選んだのは昔からそばにいて彼女を見守っていたホリだったのは正解だったと思います。

一時の恋のときめきよりも長い期間一緒に時を過ごし、はぐくんできた信頼、安心感こそが今も昔も人間にとって大切なものだと、広大なナイルの川はレニセンブに最後に教えてくれたのではないでしょうか。

登場人物

インホテプ 家長、墓所守

レニセンブ インホテプの娘

ヤーモス 長男

サティピイ ヤーモスの妻

ソベク 次男

カイト ソベクの妻

ケイ レニセンブの亡き夫

テティ レニセンブの子

エサ 祖母

ホリ 管理人

ヘネット 召使い

イピィ 3男

ノフレト インホテプの愛妾

カメニ 書記

メルスー 医者

アスハイエト レニセンブたちの亡き母

農事暦

洪水季 7月下~11月下

冬季  11月下~3月下

夏季  3月下~7月下

2022.4.25記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

ポアロ登場(短編集)

①(西洋の星)盗難事件

ヤードリー卿夫人と不倫関係にあるグレゴリー.ロルフは夫人をゆすってダイヤを手に入れたが、ヤードリー卿がダイヤを売って生活を守ると言い出した為、ダイヤの2重強盗を企む。まんまと馬鹿にされるヘイスティンクズが怒り狂う。

②マースドン荘の悲劇

自殺の可能性を保険会社に依頼されるポアロ。自殺した男の話をヒントに夫を殺害した夫人。降霊会の演出の恐怖で夫人がボロを出す。

③安アパート事件

法外に安い家賃のアパートに入居できた若夫婦の話に興味をもったポアロ。そこは情報機関が探しているスパイの本拠でロビンソンという名だからこそ選ばれたのだ。

④狩人荘の怪事件

インフルエンザのポアロを置いてヘイスティンクズ単身ヘイヴァリングと共に行く。借金苦で叔父を殺したのは家政婦に化けた夫人。夫はアリバイあり。遺産を手にするが夫婦はその後飛行機事故で死亡。ネメシスは彼らを見のがさなかった訳。

⑤百万ドル債券盗難事件

アメリカに行く船で盗まれた債券の責任者。フィアンセの女性に相談を受けるポアロ。これはダミー。本物は別の船で一足先にアメリカに着いていた。銀行支配人が隣りの船室にひそみ、トランクの鍵をつぶして演技をしていた。お偉方の中にも犯罪者はいるのだ。

⑥エジプト墳墓の謎

発掘調査中、関係者が次々死亡。エジプト王の呪い?博士の夫人がポアロに依頼し現地に行く。博士の遺産をもらおうと代表者が次々殺してた。ポアロはオカルト信じたふり、薬飲んだふり、演技する。

⑦グランドメトロポリタンの宝石盗難事件

ホテル滞在中の夫人のネックレスが盗まれ、隣室のメイドの部屋から見つかるもこれはにせ物。ポアロ、メイドとボーイにかまをかけて彼らの指紋をとると指名手配中の2人と判明。お礼にもらった小切手でもう一度グランドメトロポリタンに行こうとヘイスティンクズを誘う。

⑧首相誘拐事件

国際会議に出席するはずの首相が行方不明。先に銃で暗殺されかかって次に誘拐されるのに疑問を持つポアロ。首相はパリでなくイギリスにいて、パリにいたのはダミー。無事首相は発見され会議に出席する。

⑨ミスターダウンハイムの失踪

ポアロ、ヘイスティンクズ、ジャップの3人がお茶の席で座りながら事件を解決できるか賭けをする。頭取ダウンハイムが家を出たきり失踪。訪問客ロウエン来るも帰ってこず、家の金庫から宝石、債券が盗難。頭取の指輪を質に入れた男が警察に暴力をふるい逮捕されるが銀行は倒産。頭取こそ逮捕された前科者だった。ポアロ、5ポンドジャップから受けとるが申し訳なく思い、今度食事に誘おうと提案する。

⑩イタリア貴族殺害事件

友人の医者の患者、イタリア貴族が殺害される。2人の客と食事した後、貴族はにせ物で客はイタリアから密命をおびてきた大使たち。執事が金を横領すべく食事のシーンを演出していた。

⑪謎の遺言書

伯父の遺言、新しい遺言書を1年以内に見つけたら全部遺産をやる。できないときは全部寄付する。ポアロに頼み遺言書を見つけ出す。専門家にまかせるのが一番と、女性が高等教育受けることの価値をポアロ誉める。

⑫ヴェールをかけた女

昔の手紙でゆすられてると訴える女性に頼まれ「法律を敵に回した仕事も気分転換になってよい」とゆする男の家にしのびこんで手紙を手に入れるが、この女は実は宝石泥棒。はいてる靴が安物でレディではないと見破る。

⑬消えた廃坑

ポアロが持つ唯一の株。鉱山の書類の持ち主の中国人が殺された事件の手柄をミラー警部にとられ、別の役員からお礼にもらった株だった。

⑭チョコレートの箱

ポアロがベルギー時代の唯一のミスをした話

殺された代議士の犯人。ポアロは彼の母に告げるが、その母に私が殺したと自供される。毒の入ったチョコレートの箱とふたの色が違うのは母が白内障だからというのがポアロは気づかなかった。

まとめ

1924年刊行のアガサクリスティ最初の短編集で全作ポアロもの。ヘイスティンクズの語り口でヘイスティンクズとポアロの掛け合いが楽しめます。2人のキャラクターがよく出ていて、後に発表される長編の原型となるストーリーがここにあります。シャーロック.ホームズを意識した作品もうかがえます。

2022.4.18記

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娘は娘

1952年に発表されたメアリ.ウェストマコット名義の作品で、メアリ名義の作品は探偵ものでなく、ハーレクインものといったイメージがただよいます。

娘のセアラがスイスに旅行中、ちょっとの間女に戻ったアン。リチャードと出会い恋におち、結婚を決意しますが、それを娘に伝えるのに段取りが悪かった為、娘との関係に亀裂が生じ、親子そして相手の男性との関係が崩れていくお話です。昔も今も普通にある事ですが親子の崩れ方が半端なくすごい!

母親のアン、遊びまわっててお金そんなにあるの?メイドはいてるけど家の事ほったらかしなんでしょう。いい大人がだらしない。セアラも自分の結婚ぐらい自分で決めろよ。麻薬におぼれるのは人としてアカンやろ‼️て言うかどっちも子供すぎるやん。と、ツッコミどころ満載のこのお話、読みながらついイライラしつつも友人のデーム.ローラとしっかり者のメイドに支えられて、何とか2人の仲も修復し、最後は普通の親子に戻って読後はさわやかでした。

ほとんど女性中心の話で、男の描写が面白く、納得しました。

「60男はレコードみたいに同じ事ばかりしゃべる」

「恋をした男はしょぼけた羊」

「愛の重さ」の話ほど重く暗くなく、イライラしながらも2人の思いに共感したりとストレス解消もできた一冊です。

登場人物

アン.ブレンティス 主人公、未亡人、41才

セオラ 娘

イーディス メイド

パトリック アンの亡夫

ジェームズ.グラント大佐 アンの友人

デーム.ローラ.ホイスタブル 著述家、講演家、アンの友人、64才

(ジェラルド)ジェリー.ロイド セアラの友人

リチャード.コールドフィールド 東洋帰りの実業家

ロレンス.スティーン 大富豪の御曹司

ドーリス リチャードの妻

2022.4.25記

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アガサ・クリスティー 読書感想文

七つの時計

この作品は1929年に発表されたノンシリーズの作品の1つで「チムニーズ館の秘密」の4年後に設定され、バトル警視が登場する第2作の作品です。

前作で登場した愛すべき人物たちが登場します。ケイタラム卿にバンドル、ロマックス、外交官のビル.エヴァズレー、そしてバトル警視。

前作では影の薄かったバンドルは今回は主役級の大活躍(ほぼ主役)。車はぶっ飛ばしてロニーを引き殺す(寸前)や、セヴン.ダイヤルズという秘密結社のアジトに単身乗り込み潜伏するや、おてんばぶりを最大級に発揮してます。

大事におおらかに育てられたせいか性格も素直で嫌みがない。「なぜ、エヴァンズに、、、」のフランキーやトミー&タペンスシリーズのタペンスに共通するキャラクター。

その父親のケイタラム卿とのやりとりが底抜けに楽しい。本人たちは意識してないんでしょうが、現代の日本で充分親子漫才が通用するレベル。

前回と引き続き女好きな外交官ビル。前作では見事に振られましたが今回はしっかりバンドルのハートを射止めましたね。そして頼りがいのあるバトル警視。

個人的には内容も登場人物もごっちゃ混ぜにした「チムニーズ館の秘密」よりは内容も小ぶりながら、すっきりとまとめられていてこっちの作品の方が読みやすかったです。

冒頭から登場するジミーが犯人という設定は「チムニーズ、、、」で冒頭で登場するアンソニーが亡国の王子であったというのとパターンが似ているかな。後から考えると仕事もせず、優雅な生活を送っているし、身近な所にいるからいろいろな事ができたのだと察する点はありましたね。レイディ.マライア.クートの悲劇的なキャラがまた愛らしい。

この作品の発表当時、アガサクリスティはプライベートでも大変な時期だったらしいですが、そんなことは感じさせない明るくテンポのいい作品です。

ビルの同僚の外交官たちのキャラが薄い。セヴン.ダイヤルズのメンバーが全然悪役でないのに何故仮面つけてるの?とか、ジュリーの妹ロレーンがジミーと手を組んでたり、思うところは色々ありますが、あんまり気にしないでおきましょう(笑)

登場人物

ケイタラム卿 侯爵、チムニーズ館の所有者

アイリーン.ブレント(バンドル) ケイタラム卿の娘

トレドウェル 執事

ジミー.セシジャー チムニーズ館の客、従僕スチーブンス

サー.オズワルド.クート 鉄鋼王

レイディ.マライア.クート オズワルドの妻

マクドナルド チムニーズ館の庭師頭

ルーパート.ベイトマン(ポンゴ) オズワルドの秘書

ヘレン.ナンシー.ソックス チムニーズ館の女客人たち

ビル.エヴァズレー 外交官(ジョージの秘書)

ロニー.デヴァルー 外交官

ジュリー.ウェィド 外交官

ロレーン ジュリーの妹

カートライト 医師

ジョージ.ロマックス(コダーズ)外務次官(ワイヴァーン屋敷)

サー.スタンリー.ディグビー 航空大臣

テレンス.オルーク 秘書官

ヘル.エーベルハルト 発明家

アンナ.ラツキー 伯爵夫人

モスゴロフスキー セヴン.ダイヤルズ.クラブの経営者

アルフレッド 元チムニーズ館の従僕

ジョン.ガウアー 新しく入った従僕

2022.4.22記